日本薬理学雑誌
Online ISSN : 1347-8397
Print ISSN : 0015-5691
ISSN-L : 0015-5691
摘出静脈条片におよぼすGlucofuranosideの影響
梶本 礼義谷口 隆之村松 郁延大城 進戸田 昇藤原 元始
著者情報
ジャーナル フリー

1974 年 70 巻 3 号 p. 409-423

詳細
抄録

各種動物より摘出した腹部大静脈,大腿静脈,直腸静脈,門脈および大腿動脈のラセン状条片標本を用いて,静脈疾患治療薬glucofuranoside(以下GF)の作用,および同薬物と血管作動薬ないしイオンとの相互作用を検討した.GF(2×10-7~2×10-4M)処置は,ウサギ,イヌおよびミニブタ静脈条片の緊張度を変化しないか,これを低下した.サル静脈では4例中1例にGF投与後収縮を認めたが,残り3例では緊張度の変化を認めなかった.GF2×10-5M以上の用量前処置は,用量に応じてserotonin,noradrenaline,histamine,angiotensin,bradykinin,K+およびBa++の用量-収縮作用曲線を右下方に移動した.中でも,K+およびBa++収縮を著明に抑制した.イヌではGFのこれら収縮薬に対する抑制作用は,動脈より静脈に強く認められたが,ウサギではnoradrenalineおよびserotonin収縮抑制においてのみ同様の動静脈間の差異を認めた.摘出ウサギ門脈条片の経壁刺激による収縮は,GF2×10-5M以上の用量投与によって抑制された.K+で脱分極された門脈条片のCa++収縮もまたGFによって抑制された.phenylbutazoneの同抑制作用はGFに比べ明らかに軽度であった.GFは主として血管収縮薬による細胞内へのCa++流入を阻止することによってこれら薬物の作用に拮抗するようである.しかしこの性質は,抗炎症作用とは無関係と思われた.

著者関連情報
© 社団法人 日本薬理学会
前の記事 次の記事
feedback
Top