日本薬理学雑誌
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1-Ethyl-4-(2-morpholinoethyl)-3,3-diphenyl-2-pyrrolidinone hydrochloride hydrate(Doxapram)の呼吸および循環作用
久保田 哲弘佐々木 忠治中沢 政之
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1974 年 70 巻 6 号 p. 757-766

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抄録

本論文では呼吸興奮薬であるDoxapramのイヌにおける呼吸および循環作用を検討し以下の成績を得た.1)Doxapram静脈内注入は著明な全身血圧の上昇および速やかな呼吸数増加,呼吸深度の増大を示し,それに伴なう血中ガス分圧の変化(PaO2の上昇,PaCO2の下降)が認められた。2)Doxapramの点滴持続注入は深麻酔下の高PaCO2,低PaO2値を示すイヌに対し,血中ガス分圧の改善を示した,3)Doxapram静脈内注入により生ずる血圧上昇作用はphenoxybenzamine,hexamethonium,guanethidineないしはreserpine処置犬において消失または著明に抑制され,cocaineにより増強された。また,脊髄犬においてはDoxapramの血圧上昇作用は認められなかった.4)心肺標本においてnorepinephrineは一過性の心拍数,心拍出量の増加,血圧上昇,心尖運動の充進ならびに右心房圧の低下を来たした.tyramineによっても軽度ではあるがnorepinephrine類似作用を来たした.一方,Doxapramによっては著明な変化は認められなかった.5)後肢潅流標本においてはDoxapramの動注により著明な血流量増加作用が認められたがnorepinephrine注入により血流は減少した.6)以上の成績よりDoxapramは著明な呼吸興奮作用を有し,また,Doxapramによる血圧上昇作用は主に中枢性に生ずるものと推定された.

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