日本薬理学雑誌
Online ISSN : 1347-8397
Print ISSN : 0015-5691
ISSN-L : 0015-5691
β-Phenylethylamine誘導体の中枢作用(4) ―Reserpine処理下におけるβ-Phenylethylamine誘導体の脳内投与によるマウス自発運動量および体温におよぼす影響について―
桜田 忍東海林 徹木皿 憲佐
著者情報
ジャーナル フリー

1975 年 71 巻 7 号 p. 683-690

詳細
抄録

Reserpineおよびreserpineとisocarboxazide処理マウスに2,3のβ-phenylethylamine類を脳内投与したときの自発運動量および体温におよぼす影響について検討を加え,次のような実験結果を得た.1)Reserpine1mg/kg1日1回をi. p.投与5日間処理したマゥスにtyramine,dopamine40μgを脳内投与した場合,光束法で観察した自発運動量は増加した.しかし,β-phenylethylamine,noradrenaline,isoproterenolでは対照群との間の差は認められなかった.2)Reserpine1mg/kg1日1回5日間i.p.処理後isocarboxazide10mg/kg i.p.投与2時間後にtyramine,dopamineおよびβ-phenylethylamine40μg脳内投与した場合,光束法および回転篭法で観察した自発運動量は増加した.しかしnoradrenaline,isoproterenol投与群では対照群との間の差は認められなかった.3)Reserpine処理後tyramine,dopamine,noradrenalineおよびp-octopamineを脳内投与した場合,体温は上昇する傾向が認められ,reserpineとisocarboxazide投与後にこれらamineを投与すると対照群と比較して著明な上昇が認められた.しかし,isoproterenol投与の場合には対照群との差を認めることは出来なかった.このように,noradrenalineをはじめとするβ-phenylethylamine誘導体はいちがいに体温の下降のみに作用するのではなく,生理的状態が変化すれば体温の上昇方向にも作用するものと思われる.

著者関連情報
© 社団法人 日本薬理学会
前の記事 次の記事
feedback
Top