日本薬理学雑誌
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1,4Bis-〔3-(3,4,5-trimethoxy benzoyl oxy)-propyl〕perhydro-1,4-diazepine(Dilazep)の摘出平滑筋に対する作用について
田村 秀明白沢 義障堀 平二近藤 章市
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1975 年 71 巻 8 号 p. 757-768

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抄録

作用持続が長く,かつ選択的な冠血流増加作用をもつ虚血性心疾患治療薬dilazepの各種摘出平滑筋に対する作用を検討し,次の結果を得た.1)各種摘出平滑筋に対して10-5~3×10-4Mの濃度で弛緩作用,また,各種agonistによる収縮に対して3×10-6~10-5M以上の濃度で非競合的拮抗作用(PD'2:4.40~5.05)を示した.2)モルモット結腸紐のK拘縮に対して,adrenaline,adenosineとは異なり,K拘縮後も弛緩作用を示し,特にK拘縮のtonic componentを特異的に抑制し,papaverineの作用と類似した,3)モルモット結腸紐において3×10-6M以上の濃度でCa++拮抗作用を発現し,その作用はdipyridamole,Na-層NO2,aminophyllineより強く,papaverine,hexobendineと同程度であった.4)Adenosineおよびadenine nucleotideによるモルモット結腸紐の弛緩作用を10-8M以上の濃度で増強し,その作用はdipyridamolよりも強かった.以上の結果,摘出平滑筋で認められたdilazepのadenosineおよびadenine nucleotide増強作用とCa++拮抗作用は,その冠血流増加作用の発現に重要な役割を演じていると考えられ,それらの作用発現濃度からすると,adenosineおよびadeninenucleotide増強作用の方が冠血流増加作用に関与し,さらに,濃度を増すとCa++拮抗作用も関与してくると推察される.

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