日本薬理学雑誌
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心収縮力,心律動におよぼすDobutamineと数種Catecholamineの作用比較
上田 元彦松村 彰一松田 三郎川上 勝森茂 栄一宇野 攻武田 寛
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1977 年 73 巻 4 号 p. 501-516

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抄録

1.迷走神経切除・麻酔ビーグル犬において,dobutamine(DOB)は用量作用関係をもって右心室収縮力増大作用を示し,その作用強度はisoproterenol(Iso)の1/115,norepine-phrine(NE)の1/15,dopamine(DA)の2.8倍であった.DOBは心収縮力増大作用に応じ腕頭動脈血流を増加したが,心拍数および血圧におよぼす影響は他のcatecholamineに比べて軽度であった.2.DOBの心収縮力増大作用はphenoxybenzamineの前処置によって軽度に抑制されたのみであったが,propranololの前処置によってほとんど消失した.DOBの心収縮力増大作用はIso同様に心筋のβ受容体刺激作用に基くものと考えられる.3.電気駆動(12beats/min)したネコ摘出乳頭筋における収縮張力増大作用はIso>NE>epinephrine(Epi)>DOB>DAの順であり,それぞれの作用強度は17,3,2.5,1,<1であった.DOBの自動能誘発作用はIso,Epi,NEに比べて極めて弱く,DAの作用に比べても軽度であった.4.左冠動脈前下行枝を結紮したビーグル犬を用いて,結紮2~6時間後と48時間後にわたってDOB,Iso,NEおよびDAの不整脈誘発作用を検討したが,DOBの不整脈誘発作用は他のcatech・1amineに比較して軽度であった.5.DOBは心拍数および血圧に対する作用が弱く,不整脈誘発作用の軽微な強心薬として急性心不全,shock時の治療にその有効性が期待される.

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