日本薬理学雑誌
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カエル卵レクチンの抗腫瘍性(第1報)ニホンアカガエル卵レクチンおよびウシガエル卵レクチンのマウスEhrlich固型癌に対する増殖抑制
佐々木 健一斉藤 正明川内 広明高柳 義一
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1977 年 73 巻 5 号 p. 571-578

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抄録

ニホンアカガエル(Rana faponica)の卵から得られたlectin(RJ-lectin)およびウシガエル(Rana faponica)の卵から得られたlectin(RC-lectin)について,マウスのEhrlich固型癌に対する増殖抑制作用を検討した.ddY系雄マウスの右後肢大腿部に106個のEhrlich腹水癌細胞を接種し,lectinは1回投与では1日後,3回投与では1,3,5日後に注射し,10日後の腫瘍重量を調べ,腫瘍増殖の抑制率を求めた.RJ-lectinは10,20および40mg/kgについて検討した結果,ほゞ同量依存的に増殖抑制作用がみられ,1回投与よりも3回投与の抑制作用が強く,皮下注射よりも腹腔内注射の抑制作用が強かった.すなわち,腹腔内への3回投与では,10mglkg×3で35%,20mg/kg×3で56%,40mg/kg×3では69%の腫瘍抑制率を示した.RC-lectinは10あるいは20mg/kgの腹腔内1回投与により増殖抑制作用が認められた.Concanavalin Aにも増殖抑制作用を認めたが,用量および投与方法と作用の強さとの関係がはっきりとしなかった.RJ-lectinの連続投与によりマウスの食作用係数に大きな変動は認められず,網内系(RES)の食作用活性に対する影響はないと思われる.マウスの尾静脈からpontamineskyblueを注射して,RJ-lectinを腹腔内へ投与すると,腹腔内への色素漏出量が増加し,腹腔内血管透過性の充進を示した.Hydrocortisone処理で免疫抑制状態にしたマウスでも,RJ-lectin 1mg/animal投与により腹腔内血管透過性の元進作用が認められた.RJ-lectinは動物由来のlectinとして抗腫瘍性が認められた最初のものである.RJ-lectinがマウスのEhrlich固型癌に対して増殖抑制を示すのは,免疫機構が関与するものではなく,直接に腫瘍細胞に働き,その表面構造に何らかの変化を与えて,細胞毒作用をあらわすことに基づく可能性が強い.

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