日本薬理学雑誌
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去疾薬の薬理学的研究 —効力検定法の改良とその応用—
加瀬 佳年薬師寺 隆瀬尾 量坂田 盛行鬼頭 剛高浜 和夫宮田 健
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1977 年 73 巻 5 号 p. 605-624

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抄録

去疾薬の効力検定法として,古くから多くの方法が試みられているが,いずれも一長一短があり,決定的なものはない.著者は現在のところ,Perry and Boydの方法,すなわち,温湿度一定の空気を呼吸させた動物の気道液をpostural drainageによって採集し,液量の増加から効果を判定する方法が最も適当ではないかと考えて改良を試み,特にウサギを用いる場合の至適実験条件を確立した,すなわち,本法における必須条件である恒温恒湿の空気を供給するため,Engelhornのhumidifierを試作改良した.さらに気管カニューレにも改良を加え,凝縮水の気道液への混入防止に注意を払い,定量的採取に万全を期した.一方,気道液量の時間的および季節的変動,液量におよぼす体温および体重の影響,動物種属差による変動などの基礎的事項について,従来知られていない知見を加えた.次いでこの方法を用い,気道系作用薬の効果をしらべた.1)去疾薬,臨床上汎用されているbromhexineは5mg/kg,p.o.から気道液量の増加がみられたが,有意差はなく,10mg/kgでは作用は最も著明かつその持続も長いが,20mg/kgでは反ってやゝ減弱した.なお,これらの実験に際して,従来知られている液量増加の時間帯より遅れて,さらに著明な増加があらわれることを知った.Emetine(1,5mg/kg,p.o.)も液量を増加させたが有意ではなかった.2)鎮咳薬.Codeine(50mg/kg,i.v.; 20mg/kg,p.o.),dextromethorphan(5mg/kg,i.v.; 50mg/kg,p.o.)では液量は減少傾向を示したが,fominoben(5,10mg/kg,i.v.),eprazinone(5mg/kg,i.v.; 50mg/kg,p.o.)は有意に増加させた.3)気管支拡張薬.Isoproterenol(5μg/kg,i.v.),clorprenahne(500μg/kg,i.v.),C-78(1mg/kg,i.v.)も液量をわずかに減少させた.以上の知見から,本法は気道液量増加を主作用とするような去疾薬のみならず,液量を減少させるような薬物の効力判定の方法としても使用し得ることを示した.

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