日本薬理学雑誌
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Ketoprofen(19583RP)の薬理学的研究(第3報)Na塩皮下投与による抗炎症作用ならびに鎮痛解熱作用
鶴見 介登野崎 正勝中野 万正呉 晃一郎藤村 一
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1977 年 73 巻 5 号 p. 633-650

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抄録

Ketoprofen(以下KPと略す)はindomethacinに匹敵する強力な抗炎症作用を有するが,経口投与では胃粘膜障害作用もまた強いことを先に報告した.そこで投与経路を変えることによってこの副作用を軽減させ,薬効的に増強するかどうかに着目し,主作用である抗炎症作用および鎮痛解熱作用と副作用である胃粘膜障害作用について,KPのNa塩による皮下投与試験を行なった.KP-Naは皮下投与で強力な抗炎症作用を示し,しかも急性炎症よりも亜急性,慢陛炎症反応に対する抑制作用の方が強かった.また酸性化合物としてはKP-Naが比較的強い鎮痛解熱作用を有し,従来の非ステロイド抗炎症薬に優るとも劣らない薬効を有することは,経口投与の場合と同様であった.この皮下投与の場合の効力は,経口投与に比して急性,慢性のいずれの炎症反応に対しても量的に2~3倍強かった.他方胃粘膜障害作用は皮下投与することによって経口投与の場合よりも1/3程度に弱められ,副作用は明らかに減弱された.以上の結果から,KPはNa塩として皮下投与することにより,副作用である胃障害を弱めることができる.その上薬効的には増強されるので,投与量を減らすことができ,さらに副作用は軽減されうることから,投与方法としての皮下投与は充分意味のある方法と思われた.なお先に報告したように,KP-Naの局所刺激作用はほとんどなく,臨床的投与方法として皮下注射薬の利用価値があるものと思われるが,最終的には製剤技術的な面,あるいは皮下投与による亜急性,慢性毒牲試験の結果から判断されるべきであろう.

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