日本薬理学雑誌
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無麻酔ラットにおける各種アドレナリン作動性 β-遮断薬,特にcarteolo1の降圧作用の解析
小澤 光渡辺 寛陳 清松
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1978 年 74 巻 1 号 p. 139-144

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抄録

β-遮断薬carteol,pindolol,propranololの降圧作用を,無麻酔の正常ラットならびに筒血圧自然発症ラット(SHR)に急性投与を行い比較検討した.また降圧作用とβ-遮断作用との関連性について検討を加えた.血圧の測定は,腹大動脈にカニューレを植え込んだラットを作成し,無麻酔で下で直接的に測定した.carteolol,pindololはラットの血圧を有意に下げたがpropranololでは降圧作用は確認できなかった.降圧作用は,正常血圧ラット,SHRでも共通に認められ,最大降下作用が発現するまで数時間を必要とする緩徐で持続的なものであった.isoproterenolの静注により生じる心拍数増加作用,血圧降下作用は,これらのβ-遮断薬により抑制された.その抑制作用は,投与後一時間目が最も強くその後弱くなるが,carteo1olのβ-遮断作用は最も長く持続した.この実験結果より,β-遮断薬の無麻酔ラットにおける急性投与で降圧作用が認められたが,この降圧作用は,薬物が本来有している心機能におけるβ-遮断作用とは直接的には平行関係を持っていないものと考えられる.

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