日本薬理学雑誌
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Morphine依存ラットに対するMetyraponeの効果
柳浦 才三鈴木 勉
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1978 年 74 巻 1 号 p. 99-109

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抄録

Glucocorticoidの合成阻害薬であるmetyraponeとmorphineを併用処置することにより,morphineの禁断症状をmetyraponeが抑制することを確認の上,このmetyraponeの作用が副腎由来のものかどうか,およびmorphineの鎮痛作用に対するmetyraponeの影響の有無について検討した.metyrapone自体の身体依存能については,直接依存試験と交叉依存試験を行ったが,本研究で用いた用量では,身体依存能が認められなかった.morphinc依存ラットの獲得にはmorphine混入飼料(0.5vs. 1mg/g food)を使用した.morphinc混入飼料とmetyraponc(60mg/kg/day,i.p.)を併用処置後の休薬あるいは麻薬拮抗薬(levallor-phan,2mg/kg,s.c.)適用後に観察される体重減少,摂飼量の減少および下痢などの禁断症状は,morphine混入飼料単独処置に比較し,著明に抑制された.副腎摘出ラットに同様の処置を行った場合でも,これらの禁断症状は,morphine単独処置に比較し,morphineとmety-rapone併用処置で著明に抑制された.また,これらの群で完全休薬を行い,体重が休薬前のレベルまで回復する日数を比較しても,morphine単独処置が約9日間,morphineとmetyrapone併用処置が約4日間とmetyraponeの併用により回復日数も半減した.さらに副腎摘出ラットでも,無処置ラットでもmorphinc処置後の休薬による禁断症状は同程度であった.したがって,morphine禁断症状に対するmetyraponeの抑制作用は,副腎由来のものではないことが示唆でき,morphinc身体依存の発展に下垂体一副腎系が関与しないであろうというWeiの結論を支持する.一方,Hot plate法を用いた鎮痛実験の結果metyraponeはmorphineの鎮痛作用発現を遅延させ,その作用強度はわずかに増強される.故に,metyraponeがmorphine禁断症状を有意に抑制すると同時にmorphineの鎮痛作用をわずかに増強させることを確認した.

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