日本薬理学雑誌
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アミノ酸輸液の注入速度と急性毒性
福田 保片岡 美紀子山口 東谷沢 久之
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1978 年 74 巻 5 号 p. 589-595

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抄録

濃度および組成の異なる数種のアミノ酸輸液について,ラットを用い,注入速度と致死量の関係を検討し,つぎの結果を得た.1)3.0,7.4,9.1,12.0%アミノ酸および5%ソルビトール加9.1%アミノ酸の各輸液を持続注入した場合,注入速度と致死量との間に1つの相関があり,非常に速い注入速度および遅い注入速度に心停止量が増加する範囲と,両範囲の中間に比較的に一定した最小の心停止量を示す範囲をもつ注入曲線が得られた.2)注入曲線より得られた最小の心停止量を示す範囲内から全被検輸液に共通した注入速度を求めると20~40ml/kg/minであり,この注入速度を用いて急性毒性試験を行なったところ,それぞれのアミノ酸輸液について安定したLD50値が求められた.3)各輸液のLD50値は,輸液の晶質浸透圧の増加にともなって小さくなった.以上の成績に考察を加え,注入速度の変化とともに輸液の浸透圧の変化がアミノ酸輸液の致死量を決定する大きな因子になると考えた.

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