日本薬理学雑誌
Online ISSN : 1347-8397
Print ISSN : 0015-5691
ISSN-L : 0015-5691
1-[(1-Pyrrolidynylcarbonyl) methyl]-4-(3, 4, 5-trimethoxycinnamoyl) piperazine maleate(Cinepazide)の脳内各部ならびに末梢器官内の組織循環に及ぼす影響について
広橋 正章萩原 彌四郎
著者情報
ジャーナル フリー

1979 年 75 巻 5 号 p. 495-506

詳細
抄録

熱電効果による組織血流測定法により, クラーレ化・人工呼吸下のネコの脳内各部ならびに身体諸器官の血流を測定し, これに対する1-[(1-pyrrolidynylcarbonyl)methyl]-4-(3,4,5-trimethoxycinnamoyl)piperazine maleate(cinepazide)の作用および作用機構について検討した.1.cinepazideは小脳皮質血流を著明に, 大脳皮質血流を明らかに増加させたが, 視床,視床下部および扁桃核の血流に対する作用は不定であった.2.cinepazideは心筋血流を最も著明に増加させ, 筋血流も明らかに増加させたが, 肝血流に対する作用は不定であった.また腎血流および皮膚血流は減少させた.3.cinepazideは血圧を緩徐に持続的に下降させた.ただし椎骨動脈内注射の場合には, 血圧を一過性に軽度に上昇させた.4.cinepazideは末梢循環系においては, 弱いadrenergic α型ならびにβ型の効果を有する可能性があるが,cholinergicな効果は持たないものと思われる.5.cinepazideの血流増加作用はpapaverineに似てこれとは異なる平滑筋弛緩作用を主体とするものと思われ, おそらくは代謝系を介する作用があるものと考えられる.

著者関連情報
© 社団法人 日本薬理学会
前の記事 次の記事
feedback
Top