日本薬理学雑誌
Online ISSN : 1347-8397
Print ISSN : 0015-5691
ISSN-L : 0015-5691
培養ラット胎仔肝のGlycogen synthaseならびにTyrosine aminotransferase活性に対するBetamethasone 17,21-dipropionateの作用
水島 敬夫石川 路夫
著者情報
ジャーナル フリー

1979 年 75 巻 8 号 p. 799-804

詳細
抄録

betamethasone 17,21-dipropionate(BDP)は組織培養ラット胎仔肝においてglycogen蓄積作用を示さず,cortisolと拮抗してそのglycogen蓄積作用を抑制するので,ラット胎仔肝の他のglucocorticoid作用系に対してもBDPは抗glucocorticoid作用を示すかどうかを確かめるため,glycogen synthase(GS)ならびにtyrosine aminotransferase(TAT)活性に対する影響を培養肝切片を用いて検討した.cortisolは3×10-8M以上の濃度でGSの総活性,活性型活性をともに増加させた.BDPはcortisolとは異なり10-6Mの濃度でも総活性を増加させず,10-6M cortisolの作用を完全に抑制したが,活性型活性に対しては3×10-8M以上の濃度で増加させた.TAT活性に対しては10-8M以上の濃度でBDP,cortisolともに増加作用を示した,したがって,BDPはラット胎仔肝のいずれのglucocorticoid作用系に対しても抗glucocorticoid作用を示すものではなく,作用系によってはglucocorticoid作用も示すものと考えられる.

著者関連情報
© 社団法人 日本薬理学会
前の記事 次の記事
feedback
Top