1980 年 76 巻 3 号 p. 201-212
dehydroepiandrosterone sulfate(DHAS)のホルモン作用を明らかにするため副腎摘出(ADX)幼若雌性ラット内分泌系におよぼす影響を調べた.20日令のSD系雌性ラットを両側副腎摘出あるいはsham-operation(SHAM)し,DHASを50あるいは100mg/kg7日間連続投与して24時間後に,血清中estrone,estradiol,estriol,testosterone(T),progesterone(P),aldosterone,11-OH-corticosteroid(11-OH-CS),dehydroepiandrosterone(DHA),DHAS濃度を測定し,さらに体重,子宮,卵巣,下垂体,甲状腺,胸腺,肝,腎の各重量におよぼす影響をしらべ,組織学的検討を加えた.SHAMラットにDHASを投与した際の変化として子宮重量およびDHASの増加が認められたが,他の内分泌臓器,血清中ステロイドホルモン濃度には影響を与えなかった.副腎摘出によりT,P,aldosterone,11-OH-CS,DHA,DHASがいずれも有意に減少し,また胸腺重量の増加,肝,腎重量の減少が認められた.これらの変化に対してDHASの投与は血清申DHAS,Tおよび子宮重量を増加させ,また胸腺重量の増加を抑制した.