1981 年 77 巻 4 号 p. 427-434
急性の食塩および水負荷ラットにおける methylxanthine 類の尿中 PGE 排泄と利尿効果との関係について検討した.等張食塩水負荷ラットにおける尿中 PGE 排泄は,methylxanthine 類の経口投与(25,50,100mg/kg)で有意に増加した.その効果は theophylline で最も強く,theobromine およびcaffeine では,ほぼ同等の強さを示した。次に theophylline の尿中 PGE 排泄効果を無負荷ラット,急性の食塩水および水負荷ラットにおいて比較検討した.theophylline(25,50,100mg/kg)は無負荷および等張食塩水負荷ラットの尿中 PGE 排泄を著明に増加させた.また,同時に利尿作用として特に Na および Cl の排泄増加が顕著であった.なお,theophylline の末投与群でも,尿中 PGE 排泄は等張,高張(9%)食塩水および水負荷の刺激だけで,有意に増加した.特に高張食塩水負荷ラットで著明に増加し,以下,水,等張食塩水負荷の順であった.しかしながら,高張食塩水および水負荷ラットでは,theophylline の尿中 PGE 排泄の有意な増加効果は認められなかった,さらに theophylline による尿中 PGE 排泄増加効果と利尿作用との関係について検討した結果,無負荷ラットにおいては,theophylline による尿中 PGE 排泄増加効果は,尿量および Na,Cl の排泄と有意に相関した,また,等張食塩水負荷ラットでは,Na および Cl 排泄の増加と有意に相関した.以上,theophylline の利尿作用発現に腎内 PGE が積極的に関与している可能性を強く示唆すると共に,腎内 PGE が電解質および水排泄の調節に複雑に関与していることを示唆する成績を得た.