日本薬理学雑誌
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Neurotropinの免疫薬理学的作用(第2報)
Graft-versus-host反応におよぼす影響
柳原 行義信太 隆夫吉井 春夫
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1981 年 78 巻 5-6 号 p. 451-458

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抄録

免疫促進作用を有するNeurotropin (NSP) のマウスにおけるgraft-versus-host (GVH) 反応におよぼす影響を検討した. allogeneicなC3H/Heマウス脾細胞を900 R照射したBALB/cマウスにtransferしたsystemic GVH反応はNSPの投与によって強く抑制された.この抑制効果は500 R照射したBALB/cマウスをhostとしたsystemic GVH反応のそれとほぼ同程度であった. NSPはGVH反応のinduction phaseにおけるマウス脾細胞の幼若化を有意に抑制した.しかし, NSPはGVH反応を惹起しているマウス脾細胞のtransferによるeffector phaseでのsystemic GVH反応およびlocal GVHは抑制しなかった.一方, 100~900 R照射したマウスの造血機能の低下に対して, NSPは回復傾向を示した.また, cyclophosphamide, mitomycin C, methotrexateおよびvinblastine投与によるマウスの造血機能の低下に対しても, NSPの併用投与は回復傾向を示した.しかし, NSPはsyngeneicな骨髄細胞をtransferした900 R照射マウスの造血機能に対しては何ら影響を与えなかった,以上の結果から, NSPは放射線照射によって低下したhostマウスの免疫機能を賦活することにより, host-versus-graft反応を介してGVH反応を抑制することが示唆された.

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