日本薬理学雑誌
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中枢性筋弛緩薬Afloqualoneのネコ睡眠-覚醒リズムに対する作用
小島 康生工藤 幸司石田 柳一
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1981 年 78 巻 5-6 号 p. 471-482

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抄録

中枢性筋弛緩薬afloqualone (AFQ) は各種実験動物において運動失調を惹起する大量を投与しても明らかな催眠作用を示さないが, methaqualone (MTQ) と類似の化学構造を有していることからその催眠作用の有無について慢性電極植込みネコを用い行動および8時間 (9:00~17:00) の睡眠-覚醒リズムに対する面から検討を加えた. AFQは10および25mg/kg (p. o.), chlormezanone (CMZ) は25~100mg/kg (p. o.) で筋弛緩作用を,またそれぞれ50および200mg/kg (p. o.) で運動失調を惹起したが, AFQはCMZと異なち発揚症状を惹起しなかった. tolperisone-HCl (TPS) は100mg/kg (p. o.) までの投与で筋弛緩作用を示さず,200mg/kg (p. o.) では間代性痙攣を惹起した.一方, MTQとpentobarbital-Na (PB) ま低用量で発揚症状を,高用量で催眠作用を示した.睡眠-覚醒サズムに対する作用ではAFQは25mmg/kg (p. o.) の中等度筋弛緩作用発現量で安静 (REST) 期および徐波浅睡眠 (SWLS) 期を増加し,覚醒 (AWK) 期,徐波深睡眠 (SWDS) 期および速波睡眠 (FWS) 期を減少した.50mg/kg (p. o.) の著明筋弛緩作用発現量ではSWLS期のみが選択的に増加し,その他の4期は減少ないし不変であった.これに対してTPS, CMZ, MTQおよびPBではいずれも中等度および著明筋弛緩作用ないし催眠作用発現量でSWDS期のみが選択的に増加し,その他の4期は減少ないし不変であった.以上の結果よう, AFQのネコ行動および睡眠-覚醒リズムに対する作用はTPS, CMZ, MTQおよびPBのいずれの比較薬とも質的に異なり,その催眠作用も筋弛緩作用発現量ではほとんどないか,またはあったとしても軽度なものと考えられた.

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