日本薬理学雑誌
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Acemetacin (K-708) 及びindomethacinの胃腸管刺激作用
中村 政記吉中 康展鈴木 秀雄和田 靖史
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1981 年 78 巻 5-6 号 p. 511-519

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抄録

indomethacinのプロドラッグであるacemetacinのラット胃腸管刺激作用についてindomethacinを対照薬として検討した. acemetacin 1回経口投与による胃粘膜障害は軽度であったが, indomethacin投与では3~5時間後に著明な粘膜障害が観察された.腸管に対する障害は短時間ではacemetacin投与群が軽度であったが, 24時間以降では両薬物投与群とも同程度の障害が観察された.連続投与時の胃腸管障害も1回投与の場合と同様であり, acemetacin投与群の胃粘膜障害はindomethacin投与群より軽度であった.腸管に対する障害は両投与群で明らかな差が認められなかった. in vitroの粘膜刺激実験において, indomethacinは摘出腸管から剥離する粘膜量を著明に増加したが, acemetacinは作用を示さなかった. acemetacin, indomethacin経口投与後の胃粘膜PG生成能を検討した. indomethacin投与群では15分後から著しいPG生成能の低下が認められたが, acemetacin投与群はindomethacin投与群の約1/2の抑制と軽度にとどまった.以上の結果から,未変化体acemetacinは粘膜に対する直接刺激作用が弱いために, acemetacinを生体に経口投与した場合の胃粘膜障害が軽度にとどまると推察され,これには一部胃粘膜のPG生成能に対する抑制作用が弱いことが関連すると考えられる.

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