日本薬理学雑誌
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Eptazocine (l-1, 4-Dimethyl-10-hydoxy-2, 3, 4, 5, 6, 7-hexahydro-1, 6-methano-1H-4-benzazonine) の薬理作用
第1報Eptazocineの鎮痛作用とCatecholamineの関係
亀山 勉鍋島 俊隆山口 和政鵜飼 良奥山 茂榊原 曩人
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1981 年 78 巻 5-6 号 p. 599-612

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抄録

eptazocine (l-1, 4-dimethyl-10-hydroxy-2, 3, 4, 5, 6, 7-hexahydro-1, 6-methano-1H-4-benzazonine) の鎮痛作用と脳内catecholamineとの関係について薬理学的および神経化学的方法を用いてpentazocine (PZC) およびmorphine (MOR) と比較検討した. eptazocineの圧刺激法における鎮痛作用はdisulfiramおよび6-hydroxydopamine (6-OHDA) の前処置により有意に減弱した. eptazocineは,脳幹のnorepinephrine (NE) 含量を有意に上昇させ,皮質のdopamine (DA) を減弱させた. α-methyl-p-tyrosine (α-MT) を前処置し, eptazocineを投与すると,皮質および脳幹のDAおよび脊髄のNEの消失速度が減少した. PZCの鎮痛作用は, α-MT, disulfiram, 6-OHDAおよびreserpine (RSP) により減弱された. PZCは,皮質および脳幹のNE含量および線条体のDA含量を減少させ, α-MT前処置後,脳幹および脊髄のNEの消失速度を上昇させた. MORの鎮痛作用は, α-MTにより増強され, RSPおよび6-OHDAにより減弱された. MORは,皮質NEおよびDA含量および脳幹のNE含量を減少し,脳幹のDAおよび脊髄のNE含量を増加させた. α-MT前処置後,皮質および脳幹のNEの消失速度を上昇し,高用量では,線条体のDAおよび皮質,脊髄のNEの消失速度を減少させた.以上の結果より, eptazocineは,皮質および脳幹のDAおよび脊髄でのNEの代謝回転または遊離を減少し, PZCは,脳幹および脊髄でのNEの代謝回転の上昇を,一方, MORは,低用量で皮質および脳幹のNEの代謝回転を上昇し,高用量では,線条体DAおよび脊髄NEの代謝回転を減少させることが示唆された.従ってeptazocineの鎮痛作用は, PZCやMORとは異った機序で発現するものと思われる.

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