日本薬理学雑誌
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Guanfacineの中枢性降圧作用に関する研究
大久保 和弘鈴木 健一小熊 正樹大鳥 居健
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1982 年 79 巻 4 号 p. 263-274

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抄録

ウサギ側脳室内投与によるguanfacine(BS-100-141,N-amidino-2-(2,6-dichlorophenyl)acetamide)の血圧および心拍数に対する中枢作用を,clonidineのそれと比較検討した.guanfacineおよびclonidineの脳室内投与により血圧下降と心拍数減少がそれぞれの場合に認められた.guanfacineのこれら作用はともにclonidineより弱かったが,同等の降圧効果を示す用量において,guanfacineの徐脈効果はclonidineよりさらに弱かった.また前者の降圧作用の発現は後者に比べて遅く,作用の持続は長かった.両薬物の脳室内投与による降圧および徐脈効果は,phentolamineまたは6-hydroxydopamine(以下6-OHDAとする)の脳室内前処置によって抑制され,またdesmethyl-imipramine(以下desipramineとする)の脳室内前処置によっても抑制された.以上の結果から,guanfacineはclonidineと同様に,中枢のα-adrenoceptorに作用し,さらにpresynaptic noradrenergic neuronにおけるuptake機構に影響を与えて,末梢交感神経の緊張を減弱させ,あるいは迷走神経活性の増強を導いて,血圧下降や心拍数減少を起すと考えられる.

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