1982 年 79 巻 4 号 p. 275-283
モルモットの啼声反応およびネコの視床内側核侵害受容ニューロン活動を指標として,8種類のcapsaicinoidsの発痛作用について検討したところ次の結果が得られた.1)投与量を1μg/animalに統一し,動脈内投与したときの啼声反応を比較するとcapsaicinおよびdihydrocapsaicinがほぼ同程度で最も強い啼声反応を誘発したが,N-(4-hydroxy-3-methoxy-benzyl)-6-methylhept-trans-4-enamide(6ME)を除く5種類のcapsaicinoidsはこれらより弱く,6MEは10μg/animalの用量でもまったく啼声反応を示さなかった.またネコにおいてはcapsaicinoidsおのおののニューロン発火数の増加率について比較するとcapsaicinが最も高く,dihydrocapsaicinとN-(4-hydroxy-3-methoxybenzyl)-6-methylheptamideが次に高く,他はこれらより低かった.6MEはネコにおいても反応を示さなかった.2)morphine(10mg/kg s.c.)はcapsaicinおよびbradykininによる啼声反応を抑制したが,aspirin(100mg/kg i.P.)はbradykinin誘発の反応のみ抑制した.capsi-amideはモルモットおよびネコの両検体においてcapsaicin,bradykinin両発痛物質による反応を抑制しなかった.3)bradykinin-capsaicin,bradykinin-acetylcholine,capsaicin-acetylcholineおよびcapsaicin-dihydrocapsaicinのいずれのpair投与群でも啼声反応におけるcross-tachyphylaxisは認められなかった.