日本薬理学雑誌
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薬物の胎仔毒性に関する薬理学的研究(II) Trypan blueのラットにおける催奇形性について
江馬 真加納 晴三郎
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1982 年 79 巻 5 号 p. 369-381

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抄録

trypan blue(TB)は催奇形作用を有する色素として知られている.著者らは妊娠ラットを用いて,TBの催奇形性の機序を明らかにする目的で,各種濃度のTBを妊娠の各時期に投与し,妊娠20日に開腹し母体および胎仔への影響を検討した.得られた成績は次の如くであった.1)妊娠7,12または17日のラットにそれぞれ10,50または250mg/kgのTBを皮下投与して胎仔毒性を調べたところ,妊娠7日に50mg/kg以上のTBを投与した群に催奇形性を含む胎仔毒性が発現した.これら以外の群には著しい影響を認めなかった.2)妊娠7,8および9日に25または50mg/kgのTBを3日間連続投与したとき,TBの毒性はさらに強く発現した.3)TBをラット正常血清と混合して投与したとき,その毒性は減弱された.4)奇形胎仔の出現頻度は,妊娠7日のTB50mg/kgの投与群で12%,250mg/kg投与群で59%であった.5)骨格および内臓異常は,外表異常の出現度に応じて増加していた.主な骨格異常は脊椎骨の異常,肋骨の癒合などであり,主な内臓異常は水頭症,心臓異常などであった.外表異常としては外脳症,脊椎裂,尾の異常などが観察された.各群ともほぼ同様にこれらの異常例が観察された.6)妊娠ラット血清中のTB濃度はTB50mg/kg,s.c.の投与で,投与後1時間までにピーク(308μg/ml)に達し,6時間までに急速に下降し,その後徐々に低下したが,72時間でもなお58μg/mlの値を示した.血清を添加して投与した場合の血清中濃度は,これよりも低かった.3回連続投与では,1回投与よりもかなり高い血清中のTB濃度が示された.7)妊娠中にTBを投与されたラットより得た血清を他のラットの妊娠7,8および9日に投与しても,胎仔毒性は認められなかった.

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