日本薬理学雑誌
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新しい降圧薬SGB-483の降圧作用とその機序について
金 万宝仲川 義人三富 明夫今井 昭一
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1982 年 79 巻 5 号 p. 441-449

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抄録

内田ら(東大第二内科)により見出された新しい降圧薬SGB-483の降圧作用とその機序につき,in vivoおよびin vitroで検討し,以下のような結果を得た.1.無麻酔ラットの血圧に対する作用:高血圧自然発症ラット(SHR)と腎性高血圧ラット(clipping rat)に無麻酔,無拘束状態下,SGB-483を1回経口投与すると,1mg/kgより,用量依存的な血圧下降作用が認められた.そこで連続投与による効果を観察するために,SHRを用い,1日1回経口投与し,投薬前と投薬後30分に尾容積法にて非観血的に収縮期血圧と心拍数を連続6日間測定したところ,1mg/kgと3mg/kgで有意な血圧下降作用が認められたが,心拍数には有意の変化は認められなかった.2.urethanとα-chloraloseで麻酔したウィスター今道ラット,SHRおよびclipping ratにおいてadrenaline 2μg/kg i.v.の昇圧反応はSGB-483によって用量依存的に抑制され,1mg/kgの用量ではreversalがみとめられた.3.摘出モルモット胸部大動脈ラセン状標本を用いた実験においてSGB-483はphenylephrineによる収縮の用量反応曲線を右方へ平行移動させ,PA2値は7.64±0.08であった.また,高用量を用いると,モルモット気管平滑筋のisoproterenolによる弛緩作用に対する拮抗作用もみとめられた.4.propranolol 1mg/kgで前処置したpithed ratにおけるadrenaline 1μg/kgの昇圧反応の中,SGB-483(1mg/kg)はα1 antagonistであるprazosin 1mg/kgによって抑制されなかった部分(prazosin-resistant part)に対しては抑制作用を示さなかったが,α2 antagonistであるyohimbine 1mg/kgによって抑制されなかった部分(yohimbine-resistant part)に対してはよく抑制した.5.pithed ratの心臓交感神経節前線維刺激による心拍数増加はclonidineにより抑制されるが,clonidineのこの抑制作用に対するSGB-483の拮抗作用は非常に弱く,このもののpresynaptic α2受容体の遮断作用は非常に弱いことが分った.以上の成績から,新しい降圧薬SGB-483はSHRおよびclipping ratに降圧作用を持つこと,その機序としては血管平滑筋postsynaptic α1受容体の選択的遮断が考えられることが示された.

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