日本薬理学雑誌
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SART stress(Repeated cold stress)マウスのECG変化とそれに対するNeurotropinなどの作用
秦 多恵子喜多 富太郎伊藤 栄次浪松 昭夫
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1982 年 79 巻 6 号 p. 487-492

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抄録

SART stress(repeated cold stress)ラットでは収縮期血圧が下降し局所動脈の血流量に変化が認められるが,今回は,このSART stress動物の心機能を調べる目的でマウスECGを経日的に測定した.5日間のSART stress負荷を行なったマウスではR,T voltageの増高,PQ intervalの短縮およびQRS intervalの延長が有意に認められた.また心拍数の微増が認められた.さらに負荷を続けた場合でも,stress5日間負荷の結果とほぼ同じであった.5日間負荷マウスにpropranololを1回投与して40分後にその急性効果をみると,これらの心電図における異常はほとんど消失した,5日間のstress負荷期間中propranololを連続投与しておき,そのlong-acting effectの有無を調べる目的で6日目にECGをしらべたところ1回投与の場合の抑制度と比べて僅かな阻止であった.以上のことからSART stressマウスの心機能は少なくもECGの結果から交感神経の緊張亢進状態にあるように思われる.次にSART stressマウスに同様にして神経鎮静薬neurotropinを1回投与すると無効であったが,stress負荷開始当日より5日間連日投与しておくとPQ intervalの短縮ならびにQRS interva1の延長は有意に抑制された.しかしRおよびT voltageの増高ならびに心拍数の増加はほとんど抑制されなかった.とくにRおよびT voltageの増高は交感神経緊張性の増加によると考えられているので,neurotropinは自律神経のうち少なくも交感神経側には直接作用を持たないのではないかと考えられる.

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