日本薬理学雑誌
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Protizinic acidのProstaglandinsおよびOxygen radicals生成系に及ぼす影響
大西 治夫伊藤 千尋鈴木 和男北村 裕下良 実斎藤 晃伊藤 隆太
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1982 年 79 巻 6 号 p. 561-569

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抄録

protidinic acid(PRT)のprostaglandins(PG)系およびoxygen radicals産生系に及ぼす影響について,他の非steroid抗炎症薬と比較検討した.PRT,indomethacin(IM)およびibuprofen(IB)はモルモットにおけるarachidonic acid誘発紅斑を30mg/kgの経口投与で有意に抑制した.また,30mg/kg経口投与で,PRTはPGE2誘発紅斑を掬制したが,IMおよびIBには有意な抑制作用は認められなかった.in vitroのphospholipase A2活性に対し,PRTは抑制を示し,そのIC50は2.1×10-4Mであったが,IMおよびIBは3×10-4Mまでの濃度でほとんど影響を及ぼさなかった.これらの結果から,PRTはIMやIBと異なり,PG系に対してより広範な作用を有することが示唆された,さらに,oxygen radicals産生系に及ぼす検討においては,xanthine oxidaseによるsuperoxide anion(SOA)産生に対しては,PRT>metiazinic acid(MA)=IM>IB=phenylbutazone(PB)の順に効果がみられた.ウサギ白血球myeloperoxidase活性に対しては,PB>IM>PRT>MA=IBの順に効果がみられた.モルモットmacrophageによるSOA産生に対しては,IM>PB>PRT>MA>IBの順に効果がみられた.また,ウサギ好中球と凝集IgG・micropore filterとによって産生されるSOAに対しては,PRT>MA>PB>IM=IBの順に効果がみられた.これらの実験において得られたPRTのIC50値はIMのそれと異なり,in vivoにおける薬効用量で達し得る濃度であった.このように,PRTはIBとは対照的に,oxygen radicals産生系の総べてにおいて抑制作用が認められたが,その作用態度からみて,PRTがoxygen radicalsのscavenging作用を有することが示唆された.また,特に,臨床的な免疫性疾患の優れたin vitroモデルである凝集IgG・micropore filterによるSOA産生に対してPRTが最も強力な効果を示したことは興味深い.

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