日本薬理学雑誌
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Chemical mediatorによる気道収縮に及ぼす迷走神経の影響
柳浦 才三後藤 和宏北川 晴美細川 友和三澤 美和小林 登早川 浩
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1982 年 79 巻 6 号 p. 571-579

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抄録

薬物によって誘発される気道収縮における迷走神経の関与を,神経冷却による迷走神経の遮断により検討した.神経の冷却は,著者らが考案・作製したthermodeを用いて行った・雄性雑犬をpentobarbital麻酔下に両側迷走神経を剥離した後,thermodeを装着し,冷却水を灌流した.気道平滑筋の反応は,Konzett-Rössler法変法により吸気時のventilation overflow量を指標として測定した.迷走神経より導出した求心性インパルスの波形解析により,神経に対するthermode装着の影響は認められないことが確認できた.また,0°Cの冷却により神経インパルスは完全に消失し,再び温水を灌流することにより速やかに出現した.迷走神経の0°Cの冷却により,ventilation overflowのわずかな減少すなわち,気道拡張反応がみられた.この反応は,冷却を中止し,温水を灌流することにより,再びもとのレベルに戻った.薬物は気管支動脈内適用あるいは吸入適用した.histamine,acetylcholine(ACh),serotonin(5-HT)およびprostaglandin F(PGF)10μgの動脈内適用により気道収縮が認められた.これらの収縮は両側迷走神経の冷却時には抑制された.一方,histamine,AChおよび5-HTの0.00125%溶液あるいはPGFの0.0001%溶液の10分間吸入による気道収縮も迷走神経の冷却により抑制されたが,その抑制率は気管支動脈内適用時より強い傾向がみられた.以上のことから本研究で考案・作製したthermodeは迷走神経の冷却に有用である.また,histamineのみでなくACh,5-HTおよびPGFによる気道収縮においても,迷走神経の関与が示唆される.

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