日本薬理学雑誌
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Oxatomide(KW-4354)の薬理作用 第3報 実験的喘息およびSchultz-Dale反応に対する作用
大森 健守石井 秀衛武井 好三周藤 勝一中溝 喜博
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1982 年 80 巻 6 号 p. 481-493

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抄録

benzimidazolone系の抗アレルギー薬oxatomideのアナフィラキシー性気道収縮反応およびSchultz-Dale(SD)反応におよぼす影響を検討し,以下の成績を得た.1) 能動感作ラットの気道収縮反応に対し,oxatomideは経口投与では10mg/kg以上,静脈内投与では0.01mg/kg以上で投与量に依存した抑制作用を示した.disodium cromoglycate(DSCG)は静脈内投与ではoxatomideと同程度の効力を示したが,経口投与では無効であった.2) 抗EWA家兎血清で受動感作したモルモットの気道収縮反応に対して,oxatomideは経口および静脈内いずれの投与方法でも有意な抑制作用を示したが,DSCGは静脈内投与でも無効であった.3) 抗serotonin薬methysergideはラットの反応を,抗histamine薬tripelennamineはモルモットの反応を選択的に抑制した.抗SRS-A薬FPL-55712はラット,モルモットの反応をほぼ同程度に抑制した.4) IgE抗体を主に含む抗BPO・BGGモルモット血清で受動感作し,BPO・BSAで惹起したモルモットの気道収縮反応に対し,oxatomideおよびDSCGはともに抑制作用を示した.5) EWA能動感作モルモットから摘出した回腸標本のSD反応は潜伏期の短かい第1相と潜伏期の長い第2相から成り立っているが,oxatomideは10-8M以上で第2相を,10-7M以上で第1相を抑制した.tripelennamineは第1相を,FPL-55712は第2相を選択的に抑制したが,DSCGは両相の収縮に影響をおよぼさなかった.6) 摘出気管標本のSD反応のtonic contractionに対しても,oxatomideは10-7M以上で濃度依存的に抑制作用を示したが,DSCGは無効であった.tripelennamine,FPL-55712はともに本反応を部分的に抑制した.以上の成績から,oxatomideはIgEおよびIgG抗体関与のアナフィラキシー性気道収縮反応を経口投与で抑制すること,また,摘出回腸および気管標本のSD反応も抑制することがわかった.

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