日本薬理学雑誌
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Guanabenzの薬理学的研究 ―末梢神経系およびその他の一般薬理作用について―
大幡 勝也村田 保坂本 博彦河野 茂勝北条 雅一吉田 洋一長坂 保則秋本 吉信嶋田 亮男寺本 昇辰巳 煕
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1983 年 81 巻 1 号 p. 59-78

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抄録

新規の抗高血圧薬,guanabeRZ(GUB)の末梢神経系ならびにその他の一般薬理作用をclonidine(CLD)およびguanethidine(GUD)と比較検討を加え,以下の成績を収めた.GUBの静脈または経口投与により,ネコ瞬膜の収縮,マウス瞳孔の散大,イヌ胃腸自動運動の抑制と緊張低下,ラット炭末輸送能の抑制,ラット唾液分泌およびラット胃酸分泌の抑制などの諸作用を認めた.また,摘出ウサギ回腸自動運動に対しても同様の抑制作用が認められた.GUBは,瞬膜,ウサギ膀胱および摘出輸精管の交感神経および膀胱の副交感神経電気刺激による収縮反応にほとんど影響をおよぼきないか軽度の抑制作用を示したが,輸精管のnorepinephrine収縮反応に対しては特異的に拮抗した.しかし,epinephrineおよびtyramineによる瞬膜収縮反応と交感神経刺激による輸精管収縮反応に対し,GUBでは増強作用が認められた.GUBは,摘出モルモット回腸とラット胃底条片において,serotonin収縮反応のみ輸精管のnorcpinephrine収縮反応に対すると同濃度で抑制を示し,acetylcholine,histamineおよびBa2+収縮反応に対しては高濃度でのみ抑制を認めた.さらに,GUBは局所麻酔作用,利尿と電解質排泄作用を示したが,神経一筋伝達,子宮自動運動,気管筋および血液系に対し特記すべき作用を示さなかった.GUBに見られるこれらの諸作用はCLDでも同様に認められたが,胃酸分泌に対してはGUBと逆に充進作用を示した.そして,CLDのそれらの作用は一般にGUBより強かった.GUDでは,GUBの作用に比しtyramineや交感神経刺激による収縮反応に対する著明な抑制作用のほかは軽度であった.以上の諸成績から,GUBは一般薬理作用においてほぼCLDと類似した作用態度を示したが,GUDとは異なることが明らかにされた.

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