日本薬理学雑誌
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Bromazepam坐薬の薬理作用 ―特に経口投与との比較―
笠間 俊男藤井 祐一会田 陽子黛 清黛 洋子後藤 真千子五味田 裕森山 峰博市丸 保幸
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1983 年 81 巻 2 号 p. 149-165

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抄録

マウス,ラットを使用し,bromazepamの直腸内投与の有効性を経口投与の薬理作用と比較検討した.1)thiopental-Na,ether,ethanolにょる睡眠に対し,直腸内投与および経口投与により,用量に依存した睡眠増強作用を示した.2)鎮痛作用は,hot-plate法,algolytic法にて検討したが,両実験法ともbromazepamのED50値は直腸内投与の方が低値を示した.またhot-plate法では,両投与法ともmorphine,pentazocineの鎮痛作用を増強した.3)筋弛緩作用では,rotarod法,inclined screen法ともbromazepamのED50値は,薩腸内投与が経口投与に比べ約1/2の値を示すと共に,作用時間が明らかに長かった.4)抗最大電撃けいれん,抗pentylenetetrazolけいれん,抗picrotoxinけいれん作用を見ると,bromazepamのED50値は両投与聞に著しい差はなかった.5)嗅球摘出ラットでのhyper-emotionalityとmuricideに対する作用は,両投与間に著しい差はなかったが,有意に抑制した.またbromazepamの作用は,diazepamに比較してかなり強い作用であった.6)脳自己刺激行動に対し,bromazepamの直腸内投与において,0.2mg/kgで有意にレバー押しの増加を示し,高用量では抑制した.一方経口投与ではレバー押しの有意な増加はなかった.7)methamphetamineによるhyperactivityに対し,bromazepam 5mg/kgの直腸内投与のみが有意に抑制した.一方自発運動に対し,bromazepam 0.5mg/kg直腸内投与で抑制した.8)体温下降作用は両投与間に著しい差はなかった.以上の結果,bromazepamの直腸内投与は経口投与と比較すると,特に鎮痛作用,筋弛緩作用が強くかつ,作用時間も長く,臨床的に有効な投与法である事が示唆された.

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