日本薬理学雑誌
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Methamphetamine誘発Anorexiaに対するQuinineの効果
鈴木 勉范姜 宏仁阿部 洋一大谷 孝吉柳浦 才三
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1983 年 82 巻 2 号 p. 149-157

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抄録

methamphetamine誘発anorexiaに対するquinineの効果を検討した.実験にはSD系雄性ラットを10:00から16:00までの6時間の制限摂餌で予備飼育後使用した.薬物混入飼料としてmethamphetamineを適用するとanorex三aが観察され,このanorcxiaは2週間の実験期間中継続して観察された.したがって,methamphetamine混入飼料を適用した場合には,anorexiaに対する耐性は獲得されにくいことが示唆できる,一方,methamphetamineとquinineを併用した薬物混入飼料を適用すると,methamphetamine単独に比較してきらに著明なanorexiaが観察され,quinine単独ではanorcxiaを示さないことから,mcthamphetamine誘発anorexiaをquinineが増強する可能性が示唆できた.しかし,薬物混入飼料としてこれらの薬物を適用する場合には味覚変化についても考慮しなければならない.そこで,methamphetamineを皮下注射,quinineを経口投与し,methampetamine誘発anorcxiaに対するquinineの効果を検討した.結果は薬物混入飼料として適用した場合と同様にmethamphctamine誘発anorexiaがquinineにより著明に増強され,この増強作用はquinineの用量に依存していた.したがって,quinineのmethamphetamine誘発anorexia増強作用が明確となった.methamphetamineの尿中排泄は尿のpHによって大きく影響きれるが,quinineの併用で尿のpHに変化は見られなかった.一方,methamphetamineを反復投与した場合にはanorexiaに対して耐性が獲得される.そこで,methamphetamine誘発anorexiaに対する耐性に及ぼすquinineの効果を検討した結果,quinineを併用してもanorexiaに対する耐性は獲得されることが明らかとなった.結論として,methamphetamine誘発anorexlaがquinineにより著明に増強されることを見出した.

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