日本薬理学雑誌
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Propranololのラット末梢血管灌流圧に対する作用
前川 寛関谷 淳野村 裕子山本 順之祐
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1984 年 83 巻 1 号 p. 11-15

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抄録

著者らは,先にurethane麻酔したWistar系ラットにβ遮断薬を静注した場合,持続的な血圧上昇が見られることを観察し,その原因がラヅトの未梢血管,特に骨格筋血管のβ受容体を介する拡張性緊張が他の動物の場合より強いためであろうと推論した.今回は,この機序をさらに明らかにするために,urethane麻酔したラットの後肢動脈を自己血で定流量潅流して末梢血管潅流圧を測定した.propranolol 0.001~0.1mg/ml(5μl)末梢動脈内投与により血管潅流圧の有意な上昇が認められた.モルモットおよびウサギでの同様な実験では血管潅流圧の有意な変化は認められなかった.このことから,ラットが末梢血管,特に骨格筋血管のβ受容体を介する拡張性の緊張がモルモットやウサギにくらべて強く,β遮断薬による昇圧作用の原因となっているものと考えられる.

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