日本薬理学雑誌
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延髄巨大細胞網様核破壊ラットにおけるモルヒネ耐性および依存形成
岸岡 史郎井口 賀之尾崎 昌宣山本 博之
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1984 年 83 巻 4 号 p. 269-280

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抄録

morphine(Mor)連投期間は10~11日間とし,その投与量は漸増法に従って増量し,延髄巨大細胞網様核(NRGC)破壊ラットのMor耐性および依存形成能について検討した.耐性形成はtail pinch法による鎮痛作用を,依存形成はMor連続投与期間中の体重,体温,血漿corticosterone(Pcs)値および副腎重量の日内変動,ならびにMor禁断時の体重,Pcs値,血漿ACTH値および副腎重量を指標とした.コントロール痙痛閾値は,Mor連投またはNRGC破壊の影響を受けなかった.Mor連投前におけるNRGC destructedラット(破壊群)のMor鎮痛は,sham operatedラット(対照群)のそれに比して抑制された.Mor連投1日目初回のMor連投量(20mg/kg)によるMor鎮痛は,対照群,破壊群共に投与30分後から最大測定時間(10秒)を示し,120分後もなお持続し,非常に強力であった,Mor連投4日目および8日目の対照群におけるMor鎮痛は,検定量がそれぞれ40mg/kgおよび80mg/kgと増量されたが,Mor連投前のMor(5mg/kg)鎮痛と同程度あるいはそれよりも弱いものであり,対照群における耐性形成は明らかであった,Mor連投4日目および8日目の破壊群におけるMor鎮痛は,検定量はそれぞれ40mg/kgおよび80mg/kgであったが,Mor連投前のMor(5mg/kg)鎮痛よりは大であったものの最大測定時間には達せず,破壊群においても耐性形成が認められた.朝夕2回の分割Mor投与による体重の日内変動の逆転,Mor連投による体温の日内変動の消失,Mor依存状態におけるpentobarbital 45分間麻酔によるPcs値の日内変動の消失などは,対照群におけると同様に破壊群にも認められた.Mor禁断による体重減少,Pcs値の上昇,血漿ACTH値の.L昇および副腎重量の増加も,対照群におけると同様に破壊群にも認められた.Mor連投中およびMor禁断時の種々の指標において,破壊群におけるMor依存の形成が明らかにされた.以上の結果は,Mor鎮痛の発現にはNRGCが関与するが,Mor耐性および依存形成におけるNRGCの関与は少ないことを示唆するものと考えられる.

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