日本薬理学雑誌
Online ISSN : 1347-8397
Print ISSN : 0015-5691
ISSN-L : 0015-5691
3,4,5-Trimethoxy-N-(3-piperidyl) benzamide(KU-54)の胃粘膜,肝組織内呼吸におよぼす影響
阿部 泰夫関口 治男都留 清志入倉 勉
著者情報
ジャーナル フリー

1984 年 83 巻 4 号 p. 317-324

詳細
抄録

ラット胃粘膜および肝組織の呼吸に対するKU-54の影響について検討した.ラットにKU-54100mg/kgを投与することにより,胃粘膜の酸素消費を増加したが,肝組織の酸素消費には影響なく,KU-54の組織呼吸における作用部分は主として胃粘膜であるとみられた.酢酸潰瘍を形成したラットにKu-54100mg/kgを投与することにより,潰瘍辺縁部粘膜の酸素消費を増大した.gefarnate 200mg/kgではKU-54 100mg/kgの約半分の効果を示したが,有意なものではなかった.さらに無麻酔下または麻酔下に脱血したラット胃粘膜の酸素消費の低下はKU-54 100mg/kg投与により抑制された.gefarnate 100mg/kgでも無麻酔下では抑制を示したが,KU-54より弱いものであった.また,麻酔下では作用がなかった.in vitroではラットの細切胃粘膜の懸濁液にKU-54を添加した場合,胃粘膜の酸素消費の増加はみられず,KU-54の直接作用はないとみられた.また,脱血により増加した胃体部粘膜の嫌気的解糖の亢進をKU-54はさらに促進したが,幽門部ではこのような作用はみられなかった.gefarnate 200mg/kgでは幽門部胃粘膜の嫌気的呼吸を促進した.以上のごとく,KU-54は胃体部粘膜においては好気的,嫌気的呼吸を増加させ,エネルギー代謝が低下する場合にはこれを阻止する方向へ作用するとみられ,gefarnateとは多少異なる呼吸促進を示すと考えられる.

著者関連情報
© 社団法人 日本薬理学会
前の記事 次の記事
feedback
Top