日本薬理学雑誌
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TRH類縁体(DN-1417):ラット脳内モノアミン代謝に及ぼす影響
永井 康雄成実 重彦宮本 政臣島 高佐治 美昭名川 雄児
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1985 年 85 巻 4 号 p. 209-220

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抄録

thyrotropin-releasing hormone(TRH)およびその類縁体[γ-butyrolactone-γ-carbonyl-L-histidyl-L-prolinamide citrate(DN-1417)]のラット脳内モノアミン代謝に及ぼす影響を検討した.TRH 20 mg/kg,腹腔内投与(i.p.)は脳内諸部位のモノアミン含量を変化させなかった.一方,DN-1417 20mg/kg. i.p. 投与は,15分後をピークに約1時間にわたり,側坐核,線条体,および視床下部を中心に脳内諸部位で,dopamine(DA),serotonin(5-HT)のほか,norepinephrine(NE)を著明に減少させた.またDN-1417 20 mg/kg, i.p. 2週間反復投与により,DN-1417単独投与後15分に見られたモノアミンの減少率は低下すると共に,最終投与4時間後,側坐核でNEおよびDAが,また線条体でDAが有意に増加した.脳内モノアミン代謝物は,モノアミンの著明な減少にもかかわらず,僅かにDAの代謝物の3,4-dihydroxyphenylacetic acid(DOPAC)およびhomovanillic acid(HVA)が側坐核,線条体および視床下部で増加したのみであり,NEや5-HTの代謝物である3-methoxy-4-hydroxyphenylglycol(MHPG)や5-hydroxyindoleacetic acid(5-HIAA)は全く変化しなかった,一方,DAの神経終末からの遊離を反映するとされる3-methoxytyramineは側坐核および線条体で著明に増加し,両部位におけるDAの減少パターンと極めてよく一致した,以上,DN-1417は,TRHより強力に脳内モノアミン代謝に影響を及ぼし,特に中脳・辺縁DA系および黒質・線条体DA系の主要神経終末であるそれぞれ側坐核および線条体において,著明なDA遊離促進作用を示すと共に,これらの部位で,反復投与によりtyrosine hydroxylaseの活性化が示唆された.

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