日本薬理学雑誌
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局所適用によるPranoprofen-gelの抗炎症作用
寺澤 道夫今吉 朋憲岩久 義範丸山 裕
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1985 年 85 巻 4 号 p. 283-296

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抄録

局所適用によるpranoprofen-gelの抗炎症作用とその作用機作について,実験動物を用い,indomethacin-ge1と比較した.0.3~3%のpranoprofen-gelは,ラットのcarrageenin足浮腫,骨折足浮腫,carrageenin背部皮膚血管透過性亢進およびadjuvant関節炎,およびモルモットの紫外線紅斑に対して,局所適用により濃度に依存した予防あるいは治療効果を示し,1%pranoprofen-gelは同濃度のindomethacin-gelと同等以上の活性を示した.さらに,pranoprofen-gelはラットcotton pellet肉芽腫形成を濃度に依存して抑制したが,胸腺および副腎重量に影響を与えず,消化管障害も惹起しなかった.また,pranoprofen-gelはラットcarrageenin空気嚢炎症滲出液中のprostaglandin E2(PGE2)様物質量を濃度および塗布量に依存して減少させ,さらに,carrageenin炎症滑膜でのPGE2様物質産生も濃度に依存して強く抑制した.pranoprofen-gelのこれらの活性はindomethacin-ge1より優れていた.ウサギ皮膚において,pranoprofen-gelはindomethacin-gelと同様,arachidonic acidにより増強されたbradykininの血管透過性亢進を抑制したが,PGE2にによる増強反応を抑制しなかった.一方,in vitroで,主薬のpranoprofenのラット腹腔内白血球からの菌貧食によるPGE2様物質産生に対する抑制活性はindomethacinの1/3であった.これらの結果から,局所適用されたpranoprofen-ge1は,皮膚吸収が良好で,炎症深部まで速やかに浸透し,炎症局所でのPG産生を阻害することにより持続性で強い抗炎症作用を示すことがわかった.pranoprofen-gelのこれらの活性はindomethacin-gelより優れており,臨床での有用性が期待される.

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