日本薬理学雑誌
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モルモット喘声反応におよぼすVanillyl n-nonoylamide連続処理の影響
安藤 隆一郎米沢 章彦藤井 佶桜田 忍桜田 司木皿 憲佐
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1985 年 85 巻 6 号 p. 481-486

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抄録

モルモット哺声反応を指標として,各種発痛物質誘発喘声反応に対するvanillyl n-nonoylamide(VNA)連続皮下投与の影響について検討したところ次の結果が得られた.1) bradykinin(1 μg, 3 μg)およびacetylcholine(100 μg, 300 μg)を大腿動脈内に逆行性に投与すると対照群(vehicle処理群)では強い哺声反応が誘発された.VNAの4日間連続処理(50 mg/kg, 100 mg/kg, 200 mg/kg, 400 mg/kg, s.c.)を行った群は若干抑制傾向が観察されたが,vocalization count(VC)の値を対照群と比較すると有意な差は認められなかった.2) capsaicin,dihydrocapsaidnおよびVNA(1 μg, 3 μg)を動脈内に投与すると,bradykininと比較して潜時,持続時間の短いacetylcholine様の喘声反応が誘発されたが,VNA連続処理により,各々1 μgの投与量では完全に抑制され,3 μgでも微弱な暗声反応しか示さなかった.以上,モルモットへのVNA連続皮下投与はcapsaicinoids誘発暗声反応を抑制する強いdesensitization作用を引き起こし,同時に化学刺激に対する選択的仮性疹痛反応抑制作用が観察された.

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