日本薬理学雑誌
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新生仔期に投与した薬物による聴覚機能障害
亀山 勉鍋島 俊隆山口 和政
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1985 年 86 巻 6 号 p. 377-383

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抄録

Shuttle型条件回避反応を利用した聴覚閾値測定法によって,kanamycin sulfateおよびstreptomycin sulfateをラット新生仔に投与した場合の聴覚障害について検討した.生後10日目から6日間,kanamycin sulfateまたはstreptomycin sulfate 250または500 mg/kg, s.c. をラット新生仔に投与し,生後60日目より条件回避反応の訓練を始め,生後90~110日の問に聴覚閾値を測定した.対照群のラットの聴覚閾値は,52.1±1.0 dBであり,kanamycin sulfate 250 mg/kg投与群では,1例のみ測定可能で61.0dB,streptomycin sulfate群では,4例が測定可能で64.8±4.6 dBと対照群に比べ有意に高い値であった.新生仔での聴器毒性は非常に強くkanamycinおよびstreptomydnの500 mg/kg投与群では1例も聴覚閾値を測定できなかった.閾値が測定不能であった動物も音と光刺激を同時に提示すると,条件回避反応を習得できた.しかし,音と光刺激を分化すると光刺激に対しては,分化前と同様の回避率で反応したが,音刺激に対する回避率は著しく低下し,その後訓練を続けても回復しなかった.このことから,著者らのスケジュールで聴覚障害の程度がひどくないラットではその聴覚閾値が定量的に測定可能で,一方,生まれつき聾であるようなラットの聴覚障害についても定性的に測定することができるものと思われる.

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