日本薬理学雑誌
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新規非ステロイド系抗炎症物質2-[4(3-Methyl-2-butenyl)phenyl]propionic acid(TA-60)および2-[4-(2,2-dichlorovinyl)phenyl]propionicacid(TA-668)の抗炎症・鎮痛作用の機序と消化管粘膜に対する作用
樋口 昭平塩入 陽子田中 伸子小友 進相原 弘和
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1985 年 86 巻 6 号 p. 417-423

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抄録

TA-668,TA-60,indomethacinおよびibuprofenはdextran,serotoninおよびcarrageenin+prostaglandin E2によるラット急性足浮腫を抑制しなかった.一方,carrageenin+prostaglandin E2足浮腫に対し,salicylic acidおよび塩基性非ステロイド系抗炎症薬であるmepirizoleとtiaramide·HClは有意な抑制作用を示した.TA-668とTA-60はindomethacinおよびibuprofenと同様にarachidonic acidによる皮膚発赤を抑制したが,prostaglandin E2による皮膚発赤には作用しなかった.mepirizoleおよびtiaramide·HClはいずれの発赤に対しても抑制作用を示さなかった.adjuvantによる急性足浮腫ラットの炎症足跛行反応に対し,TA-668,TA-60,indomethacinおよびibuprofenは用量依存的な抑制作用を示し,その作用はいずれも炎症足へのprostaglandin E2の注射により消失した.TA-60は,HCl,NaOHおよびNaOH+EtOHによる胃粘膜障害を抑制した.また,TA-60のヒマシ油による下痢発生時間の延長作用はibuprofenにくらべ著しく弱いものであった.以上の結果から,TA-668とTA-60の抗炎症・鎮痛作用はindomethacinなどの酸性非ステロイド系抗炎症薬と同様に炎症部位におけるcyclo-oxygenase阻害によるprostaglandins産生抑制によるものと考えられる.また,TA-60の低消化管障害性は,TA-60のある種の胃粘膜保護作用および消化管粘膜でのprostaglandin E2産生抑制が弱いことなどによることが推察される.

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