日本薬理学雑誌
Online ISSN : 1347-8397
Print ISSN : 0015-5691
ISSN-L : 0015-5691
4-(o-Benzylphenoxy)-N-methylbutylamine hydrochloride (bifemelane hydrochloride, MCI-2016)の一般薬理作用 ―血液系に対する影響―
玉尾 嘉邦原 啓人梅津 浩平伊藤 仁堂土居 安喜子須藤 敦子平田 倫子峯尾 恭子戸部 昭広
著者情報
ジャーナル フリー

1986 年 87 巻 2 号 p. 161-167

詳細
抄録

MCI-2016(bifemelane hydrochloride)の一般薬理作用を,血液系に対する影響の面から検討した.MCI-2016は血液凝固系(APTT)および線溶系(urokinase活性化血漿塊溶解時間)に対し300 mg/kg, p.o.,あるいは8.6×10-4Mの高用量まで顕著な影響を及ぼさなかった.一方,MCI-2016は溶血作用も弱く,発現には2 mM以上の高濃度を要した.血糖値に対しても有意な影響を示さなかった.血液レオロジー的性質に対する影響をin vitroおよびex vivoで検討したところ,MCI-2016は,100 mg/kg, p.o. 以上,10 μM以上で機械的溶血を阻害し,膜枦過速度に対しても亢進傾向を示した.これらの作用はcinepazide,Ca-hopantenate,meclofenoxate,あるいはpentoxifyllineより明らかに強かった.一方,ウサギおよびヒトの血小板凝集に対しても本剤はIC50 35~60 μMでcollagenの凝集を抑制し,ADP,epinephrineの2次凝集も抑制した.bencyclaneも同様の作用パターンを示したが,他剤では血小板凝集阻害作用は認められなかった.これらの性質は本剤の臨床応用にあたり有用であると考えられた.

著者関連情報
© 社団法人 日本薬理学会
前の記事 次の記事
feedback
Top