日本薬理学雑誌
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Nicergolineの行動薬理学的特性
ラットとサルにおける一般症状観察ならびにラットにおける低率分化餌強化反応,条件情動反応,Sidman型自由回避反応に対する作用
山村 道夫前田 賀代子中川 博之石田 柳一
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1986 年 87 巻 2 号 p. 209-221

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抄録

一般症状観察においてnicergolineはラットでは1 mg/kg以上の静注,4 mg/kg以上の腹腔内投与および32 mg/kg以上の経口投与によりいずれも軽度の運動抑制,腹臥位姿勢および筋緊張の低下を,またサルでは1 mg/kg以上の腹腔内投与で運動抑制,4 mg/kg以上で眼瞼下垂,16 mg/kg以上で運動失調を惹起した.ラットのDRL反応に対してnicergohneの32および128 mg/kgの経口投与ならびに4 mg/kgの腹腔内投与でオペラント行動効果は抑制的に作用した.CERに対してnicergolineは8,32および128 mg/kgの経口投与ならびに0.25,1および4 mg/kgの腹腔内投与でいずれも警告期の反応数に影響を及ぼさなかった.また,CARに対してnicergolineは128 mg/kgの経口投与ならびに1および4 mg/kgの腹腔内投与で反応数減少および被ショック数の増加傾向を招来した.以上の成績をchlorpromazine,chlordiazepoxide,pentobarbitalおよびmethamphetamineと比較した結果,nicergolineの行動薬理学的特性は抗精神病薬,抗不安薬,催眠薬あるいは中枢興奮薬さらにはLSD-25のいずれとも異なることが示唆された.

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