日本薬理学雑誌
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Oxybutynin hydrochloride の摘出平滑筋(回腸,膀胱および尿道)に対する作用
会田 陽子金子 洋子笠間 俊男
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1986 年 87 巻 6 号 p. 629-639

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抄録

ウサギの膀胱体部,膀胱底部,頸部および尿道の各部位の摘出標本を用いて,ACh,NE,oxybutynin および papaverine の影響を検討した結果,ACh は膀胱体部を強く収縮したが,頸部および尿道では全く作用を示さず,NE は頸部と尿道で強い収縮を示し,膀胱体部では弛緩を示した.oxybutynin および papaverine は各部位の標本においてほとんど作用を示さなかった.次に,ウサギ,モルモットおよびラットの摘出回腸,膀胱並びに尿道を用いて,各種収縮薬の収縮反応に対する oxybutynin の作用を atropine,papaverine,flavoxate およびその他の薬物と比較検討を行った.標本の ACh 感受性については,各動物とも膀胱より回腸の方が約100倍感受性が高かった.oxybutynin は膀胱および回腸ともに ACh 収縮に対して競合的な拮抗作用を示し,その抗 choline 作用は atropine の1/7~1/10を示した.oxybutynin 1~100mg/kg/day を60日間連続経口投与したラットの摘出回腸では,雄の100mg/kg/day 群で ACh の感受性がやや低下したが,oxybutynin の抗 choline 作用には有意な変化は示されなかった.また,oxybutynin はモルモット回腸を用いての Ba2+,Ca2+ および histamine の収縮に対して,並びにウサギ膀胱を用いての Ba2+,high-K+,Ca2+ および ATP の収縮に対して非競合的拮抗作用を示し,papaverine および flavoxate と同等かやや強い効力が認められた.しかし,oxybutynin はウサギ尿道を用いての NE による収縮に対しては,ほとんど作用を示さなかった.以上から,oxybutynin は atropine 様の抗 choline 作用を持ち,各種収縮薬対して非競合的拮抗作用を示したことから,筋直接的な弛緩作用を持つと考えられる.

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