日本薬理学雑誌
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非ステロイド性抗炎症薬Proglumetacin maleateの薬理学的研究
(第3報)胃腸管障害作用
小野 尚彦山崎 靖人山本 紀之角南 明彦三宅 秀和
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1986 年 88 巻 3 号 p. 205-213

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抄録

indomethacin(IND)の誘導体であるproglumetacin maleate (PGM)の胃腸管障害作用をINDと比較検討した.ラットにPGMあるいはPGMと等モル用量のINDを経口投与し,胃および小腸粘膜障害の発生経過を検討した.PGMの胃および小腸粘膜障害作用のピークはそれぞれ投与後4および24時間で認められた.経口投与4時間後のPGMの胃粘膜障害作用は,絶食ラットにおいてモル比でINDの約1/7,摂食ラヅトにおいて約1/10であった.また経口投与24時間後のPGMの小腸粘膜障害作用はモル比でINDの約1/2であった.一方,PGMを7日間連続経口投与した際の胃粘膜障害作用はモル比でINDの約1/3,小腸粘膜障害作用は約1/2であり,INDよりも明らかに軽度であった.PGMの胃腸管障害がINDに比べて極めて弱かったことは,PGMの粘膜直接刺激作用が弱いことを反映しているものと考えられる.また腸管でのprostaglandin (PG)生合成阻害作用をマウスのアラキドン酸誘発下痢抑制作用を指標にして検討した.被験薬1あるいは4時間前投与時のいずれの場合もPGMの効果はモル比でINDの約1/2であり,PGMの腸管でのPG生合成阻害作用はINDよりも弱いものと考えられる.以上の結果から,PGMはリウマチ性疾患等の長期連用を要する炎症性疾患に対し治療係数の高い安全な非ステロイド性抗炎症薬であるものと考えられる.

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