日本薬理学雑誌
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マウスの移所運動活性およびシャトル型非連続回避反応に対するAmiridinの作用
栗原 久
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1986 年 88 巻 4 号 p. 299-307

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抄録

amiridin,[9-amino-2,3,5,6,7,8-hexahydro-1H-cyclopenta(b)-quinoline monohydrate hydrochloride]の行動薬理作用を,マウスの移所運動活性およびシャトル型非連続回避反応を指標にして検討した.さらに,amiridinの化学構造の原型である4-aminopyridine,およびamiridinと同様コリンエステラーゼ阻害効果を持つphysostigmineの効果とも比較した,amiridin(0.3,1,3および10mg/kg,s.c.)および4-aminopyridine(0.3,1および3mg/kg,s.c.)は,単独投与で移所運動活性に著変を起こさず,またscopolamine(0.5mg/kg,s.c.)の移所運動活性促進効果にも著変を引き起こさなかった.一方,physostiigmine(0.03および0.1mg/kg,s.c.)は単独投与で移所運動活性を抑制するとともに,scopolamineの効果を減弱した.amiridin(1および3mg/kg,s.c.,および0.3および1mg/kg,p.o.)および4-aminopyridine(1および3mg/kg,s.c.)をシャトル型非連続回避反応の訓練直前に投与すると,回避反応学習が促進された.とくに,amiridinを投与されたマウスは24時間後においても,良好な回避反応成績を保持していた.しかしamiridin(0.3,1,3および10mg/kg,s.c.)および4-aminopyridine(0.3,1および3mg/kg,s.c.)は訓練後確立された回避反応に著変を引き起こさなかった.一方,physostigmine(0.1mg/kg,s.c.)は一般活動性を抑制して回避反応学習を遅延し,また確立した回避反応も抑制した.これらの結果は,amiridinが一般活動性にほとんど影響することなく,マウスのシャトル型非連続回避反応の学習・記憶を促進する可能性を示唆している.

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