日本薬理学雑誌
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抗高血圧薬Terazosinのαアドレナリン遮断作用
花塚 光男堀井 大治郎溝上 進
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1986 年 88 巻 6 号 p. 433-441

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抄録

新規抗高血圧薬terazosinの作用機序解明の一環として,血管平滑筋収縮薬に対する拮抗の有無,並びにαアドレナリン受容体遮断作用(α遮断作用)について検討した.1) terazosin 10-4Mはラット胸部大動脈条片におけるCa2+,Ba2+,serotoninおよびangiotensin II収縮に対して影響を及ぼさなかった.2) terazosinはラット胸部大動脈条片におけるnorepinephrine(NE)およびphenylephrine(PE)の用量収縮反応曲線を右に平行移動させた.この作用のpA2値はNE拮抗で9.28,PE拮抗で8.74であり,それぞれprazosinの0.11,0.09倍,phentolamineの8,6倍およびyohimbineの176,60倍であった.更に,pithedラットにおいて,terazosinの静脈内投与はPEの用量昇圧曲線を右に平行移動させた.その“pA2”値は5.22であり,prazosinの0.05倍,phentolamineの5倍およびyohimbineの62.5倍であった.一方,pithedラットの心臓交感神経節前線維電気刺激下のclonidineによる心拍数低下に対して,terazosinは0.3mg/kg以下の静脈内投与では有意な作用がなく,1mg/kgで弱い拮抗作用を示した.prazosinは0.3mg/kg以上で,phentolamineおよびyohimbineは0.1mg/kgで有意な拮抗作用を示した.従って,terazosinのシナプス前α2遮断作用はprazosin,phentolamineおよびyohimbineのいずれよりも弱いことが示唆された,3) 無麻酔無拘束下ラットにおけるPEの昇圧反応に対し,terazosinは0.3および1mg/kgの経口投与により遮断作用を示し,その持続はそれぞれ8時間および12時間であった.4) 以上の結果より,terazosinの抗高血圧作用は交感神経系のシナプス後α遮断によることが示唆された.

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