日本薬理学雑誌
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実験的うっ血性心不全モデルに対するα-ヒト心房性ナトリウムポリペプチド(α-hANP)の効果
蘇木 宏之内田 康美舛尾 正俊東丸 貴信加藤 彰一杉本 恒明
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1987 年 89 巻 1 号 p. 47-53

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抄録

我々の開発したイヌうっ血性心不全モデルを用い,α-human atrial natriuretic Polypeptide (α-hANP)の心不全に対する作用を検討した.心不全モデルは麻酔開胸イヌの左心室前壁にプロテアーゼを注入し,左心室前壁の心筋を破壊せしめ,ついでデキストラン点滴による容量負荷とメソキサミン点滴による末梢血管抵抗の増大により,体血圧を対照時のそれに近く維持することにより作成した・このモデルにα-hANPの0.50μg/kgを静脈内に投与したところ,左房圧が18.9から14.0mmHgへと減少し,体血圧は114.4から105.1mmHg,総末梢血管抵抗は21603から15602dyne sec/cm5,左室拡張終期圧は22.2から17.6mmHgとそれぞれ減少し,大動脈血流量は0.46から0.54l/minと増加した・この際,VmaxとTにはほとんど変化が認められなかった.これらの結果から,α-hANPは,イヌうっ血性心不全を改善し,それは主にα-hANPの血管拡張作用によってもたらされると考えられた.

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