日本薬理学雑誌
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ラットの生体位膀胱機能に及ぼすTerodiline hydrochlorideの影響
阿部 充生小野 靖彦山崎 芳伸氏家 新生池田 滋
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1987 年 89 巻 5 号 p. 291-298

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抄録

生体位の膀胱機能に対するterodilineの影響を,ラットを用いて検討した.ラットの膀胱内へ生理食塩水を持続注入した際に,terodiline(1~10mg/kg,i.v.)は用量依存的に排尿反射発現までの時間を延長するとともに,排尿反射発現時の閾値圧を明らかに上昇させた.尿道を結紮したラットの膀胱内へ生理食塩水を注入した時,適度な内圧に達すると排尿反射収縮が生ずるが,これに対してterodiline(1~10mg/kg,i.v.)およびverapamil(1mg/kg,i.v.)は完全な抑制作用を示した.atropine(1mg/kg,i.v.)では,収縮高および収縮頻度の部分抑制を示すのみで,収縮を消失させることはなかった.また,terodilineは排尿反射が発現する際の骨盤神経遠心性発射の振幅の増大に対しても抑制作用を示した.骨盤神経末梢断端および中枢断端刺激による膀胱収縮はterodiline(1~10mg/kg,i.v.)によって用量依存的に抑制された.また,atropine(1mg/kg,i.v.)においても投与直後より抑制がみられ,その作用はいずれも持続した.下腹神経を切断すると排尿回数の増加および1回あたりの尿量の減少が認められたが,これはterodiline 1~10mg/kgの経口投与により改善された.

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