日本薬理学雑誌
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脳内DopamineおよびNorepinephrineの合成・代謝系に及ぼす1-[2-[bis(Fluorophenyl)methoxy]ethyl]-4-(3-phenylpropyl)piperazine dihydrochloride(I-893)の効果
永瀬 毅石河 二郎高折 修二
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1987 年 90 巻 2 号 p. 105-114

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抄録

aryl-1,4-dialkylpiperazine誘導体である1-[2-[bis(fluorophenyl)methoxy]ethyl]-4-(3-phenyl-propyl)piperazine dihydrochloride(I-893と略)の脳内dopamine(DA)およびnorepinephrine(NE)含量,合成系および代謝系に及ぼす効果をラットを用いて検討した.I-893の10mg/kg経口投与は脳内DAおよびNE量に影響しなかった.50および250mg/kg投与は,尾状核および視床下部のDA量を一過性に増加させたが,2時間後より用量依存的に減少させた.しかし,嗅結節のDA量に対する効果は比較的弱かった.視床下部および大脳皮質前頭葉のNE量もI-893により用量依存的に減少した.全脳および嗅結節を除いた上記の脳内諸部位において,I-893はα-methyl-p-tyrosineによるDAおよびNE減少効果を増強した.MAO阻害剤であるpargyline処置後の3-methoxytyramine量は,尾状核および嗅結節においてI-893の用量に依存して増加した.一方,芳香族アミノ酸脱炭酸酵素阻害剤であるNSD-1015処置後のDOPA蓄積量は,全脳,特に尾状核,嗅結節および大脳皮質前頭葉においてI-893の大量投与により減少した.I-893の10mg/kg14日間連続経口投与は体重増加率に影響しなかったが,50および250mg/kg連続投与では体重増加は明らかに抑制された.また,I-893の14日間連続投与は,本剤によるNE量減少効果を若干減弱させたが,DA量の減少効果にはほとんど影響せず,いわゆる耐性を示さなかった.以上の成績は,I-893に神経終末におけるDAおよびNEの遊離促進あるいは取り込み阻害効果の存在することを示すものである.

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