日本薬理学雑誌
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強心性植物成分の研究(第4報)
Proscillaridin還元体のモルモット心臓に対する作用について―モルモットの摘出心室筋における陽性変力作用と心電図所見―
榊原 仁作森 淳永井 慎一堀田 芳弘竹谷 和視
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1987 年 90 巻 2 号 p. 115-123

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抄録

6員環ラクトンを有する強心ステロイド,proscillaridin(PS)を接触還元して得られる5種類の還元体(bufa-4,20-dienolide(PH21),bufa-4,20(22)-dienolide(PH22),20R-bufa-4-enolide(PH4-R),20S-bufa4-enolide(PH4-S),chola-4-enoate(PH4-E))の心臓に対する薬理作用をモルモットを用いて実験した.各還元体の心筋に対する陽性変力作用(PIE)は摘出右心室乳頭筋駆動標本(lHz)を用いて行った.各還元体は母化合物PSよりもPIEの発現が速く,特徴ある形の濃度-PIE曲線を示した.最大収縮値の50%の収縮を起こさせる濃度(pD2値)はPS7.4に対しPH22 6.2,PH21 5.8,PH4-R5.3,PH4-E 5.0,PH4-S 4.9であった.ラクトン環を還元したこれらの化合物ではPIEの発現時間は速くなった.各還元体の濃度-PIE曲線において効力は減少したが,PIEの最大効果の増大が認められた.PH21とPH4-Rは単一物質であるにもかかわらず広い濃度範囲でPIEを示した・このことを丸ごとの動物の心電図を測定することにより確かめた.即ち,モルモットの心電図においてPH21 11.9mg/kgあるいは,PH22 5.lmg/kgといずれもpD2値の4.4倍に相当する量を頸静脈内に投与した時,PH21(n=5)は3時間不整脈を起こさず,PH22(n=5)は,30分以内にすべて不整脈を生じ・た,これらの結果から,PH21は母化合物PSよりも速いPIEの発現と広い濃度依存性のPIE域を持つ安全な化合物と思われる.一方,PH22は濃度-PIE曲線において急峻な立ち上がりを示し,不整脈が早い時点より出現した.

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