日本薬理学雑誌
Online ISSN : 1347-8397
Print ISSN : 0015-5691
ISSN-L : 0015-5691
実験的脳虚血モデルにおける脳機能回復に対するS-Adenosyl-L-methionine sulfate tosylate (FO-1561)の効果
佐藤 博実中野 正夫堀田 郁子高橋 二郎森口 幸栄
著者情報
ジャーナル フリー

1987 年 90 巻 2 号 p. 91-95

詳細
抄録

あらかじめ両側椎骨動脈を電気凝固で閉塞したラットの両側総頸動脈を30分間閉塞することにより作製した脳虚血モデルを用いて,血流再開後の脳波および脳内ATP含量に対するFO-1561の効果を検討した.脳波をδ(0.5~4Hz),θ(4~8Hz),α(8~13Hz)およびβ(13~32Hz)の各周波数帯に分け,それぞれのパワーの血流再開後の再出現時間および45分後と60分後におけるトータルパワーに対する割合の変化を調ぺた.その結果,FO-1561 10~100mg/kg(S-adenosyl-L-methionineとして)を血流再開と同時に静脈内投与することにより,α波の再出現時間の有意な短縮が見られ,またトータルパワーに対するδ波の減少,θ,αおよびβ波の増加すなわち速波パターンへの移行が見られた.血流再開20分後のATP含量を測定したところ,FO-1561100mg/kg投与により有意な増加が見られた.以上より,FO-1561は実験的脳虚血ラットにおける脳波およびATP含量の回復過程を促進することが認められ,臨床上脳血管障害に基づく機能障害の改善に有効であることが示唆された.

著者関連情報
© 社団法人 日本薬理学会
前の記事 次の記事
feedback
Top