日本薬理学雑誌
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化学的侵害刺激に対するNonanoyl vanillylamideの影響について
藤井 佶桜田 忍丹野 孝一薮田 みどり佐々木 直山口 佳子安藤 隆一郎木皿 憲佐
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1987 年 90 巻 5 号 p. 267-272

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抄録

nonanoyl vanillylamide (NVA)のマウス皮下投与時の化学的侵害刺激におよぼす影響について検討を加えたところ次の結果が得られた.1)マウスにNvA(0.5~5mg/kg,s.c.)投与30分後にphenylbenzoquinone writhing testおよびformalin法について侵害刺激抑制作用を測定したところ,それぞれのED50値は0.8mg/kg(0.4~1.6)および2.4mg/kg(1.5~3.9)であった.2)マウスにNVA(10~300mg/kg全用量)を連続投与し,最終投与24時間後にphenylbenzoquinone writhingおよびformalin法にて侵害刺激抑制作用を測定したところ,phenylbenzoquinone writhing testにおけるED50値は94mg/kg(61.8~143.1)であった.しかし,formalin法において最大用量300mg/kgまでにおいて,化学的侵害刺激の抑制は認められなかった.NVAの少量(0.5~5mg/kg,s.c.)投与によって引きおこされる侵害刺激抑制作用は末梢および中枢の知覚神経に対する一時的な脱感作によるものと思われる.さらに,NVA連続投与によるphenylbenzoquinone writhingの抑制は末梢および脊髄内一次知覚神経終末部での組織変性によって引きおこされるものと思われる.しかし,formalin法による侵害刺激抑制作用が認められず,マウスのformalinによる侵害刺激はphenylbenzoquinoneによる侵害刺激とは異なり,NVAによって組織変性をうけない神経を介して発揮されることを示唆している.

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